TALISKER 10y
区:ハイランド・アイランズ
           (スカイ島)
蒸留所:タリスカー
45.8%vol.





 
モルト香  
熟成香  
ピート香  
油質感  
辛 さ  
甘 味  
塩 味  
ボディ  
 
ピート香とフルーティな熟成香が重なり合い、大変奥行きのあるアロマを奏でている。海草を彷彿とさせるヨード臭も、一部のアイラ・モルトのように極端には立っておらず、バランス良く仕上がっている。実際にはモルト香も放っているようだが、他の香りが強烈過ぎてあまり感知できない。味は濃厚で、比較的オイリーな酒質である。そしてフル・ボディだ。ストレートではやや辛く、このモルトの旨さを堪能するには水割りの方がお勧めだ。トワイス・アップ(1:1)が良いが、多少多めの水で割っても、おいしさは変らない。倍以上(20度以下)に薄めてもおいしいモルトと言うのは、実際には数えるほどしかないのである。
蒸留所では、わずかな環境の変化でも造るウイスキーに微妙な影響を与えてしまうため、どこの蒸留所でもできる限りの現状維持をモットーとしている。しかし老朽化による部品の交換などは、不可抗力と言えるものだ。何十年、何百年と、同じ風味のウイスキーを造り続けて行くのは、容易なことではないのである。このタリスカー10年も、ここ10年の間に少し風味に変化が見られる。まず最初に気付くのは、渋味等の複雑な要素が少し抜け落ち、ボディが幾分か薄くなったことだ。塩味も多少減った。辛さの程度は変わっていないが、ボディが軽くなった分だけトゲトゲしく感じる。もし700mlと750mlとで選べる余地があるのならば、迷わず後者のタリスカーを選ぼう。あるいは両方とも飲んで、比べてみるのも一興だ。

総合評価 AA


Copyright © 1998- Muneyuki Yoshimura. All rights reserved.