Bladnoch
ローランド最南端の蒸留所、「ブラドノック」

ブラドノックは、レモネードを思わせる爽やかな酸味が心地いいシングルモルトです。軽やかな風味とピュアなフレーバーは、とてもローランドモルトらしいハーモニーを奏でています。

ブラドノックは、スコットランドでもっとも南にある蒸留所としても知られています。蒸留所マップを見ても、ブラドノック蒸留所だけはポツンと孤立した場所にありますね。ですので蒸留所巡りをするにも、なかなかスケジュールに組み込めないのがつらいところです。

現在操業しているローランドの蒸留所は、グレンキンチーとオーヘントッシャン、そしてこのブラドノックの3か所のみです。いずれも酒質が軽くデリケートな風味ではありますが、それぞれに個性もあります。3つの中ではもっともフルーティで、柔らかな酒質なのがこのブラドノックです。恐らく、ローランド最南端の穏やかな気候も関係しているのでしょう。

1993年に蒸留所は閉鎖されてしまいますが、翌年にこのブラドノックを買収しようとする人物が現れました。北アイルランド在住の資産家、レイモンド・アームストロング氏です。しかし、当時のオーナーだったディアジオ社との交渉は大変難航したといいます。結局、ウイスキーの生産は行わないという条件付きで契約が成立しました。しかし地元民からの注目度は高く、ウイスキー生産を望む声は次第に高まっていきました。その熱いエールに応え2000年にはウイスキー生産の許可がようやく降り、2000年の12月からは操業が再開されています。ただし、生産量は年間10万リットルまでという制限が付けられています。

復活したブラドノックは、個人経営の利点を生かした興味深い運営がされています。例えば製麦棟をホールに改装して地元のミュージシャンに貸し出したり、ブラドノック川沿いの敷地をキャンプ場にして、観光客の誘致に積極的に取り組んだりしているのです。もちろんビジターセンターや売店等も完備しています。またウイスキースクールを開講していたこともあり、2006年創業のダフトミル蒸留所の経営者はそこでウイスキー造りを学んだといいます。

2003年からは、前オーナーが所有していた頃に生産されたブラドノックが、オフィシャルボトルとして何種類か発売されていますね。またアームストロング氏のもとで蒸留されたブラドノックも、2008年以降続々とリリースされています。


Copyright © 1998- Muneyuki Yoshimura. All rights reserved.