Bunnahabhain
繊細な花の香りのアイラモルト、「ブナハーブン」

ブナハーブンはフレッシュな花の香りを放ち、心地いい軽やかな甘さのフレーバーが持ち味のアイラモルトです。アイラ島はピーティなウイスキーの産地としてよく知られていますが、その中でブナハーブンは異色アイラモルトといえるでしょう。ライトボディでピート香もほとんどなく、まるでスペイサイド産のモルトのようです。基本的にはアペリティフ向きの酒質なのですが、熟成年数の長いものには魅惑的な熟成香が備わっていることも多く、こちらは食後でも楽しめますね。

昨今のアイラモルトブームの影響で、ブナハーブンにもピーティな風味を求める声が年々高まっているそうです。そんなアイラファンの声を受けて、ここ数年はピーティなブナハーブンも生産されています。現在では生産量の約1割が、ピーティバージョンのブナハーブンになっています。ところでブナハーブンにもっとピート風味をという声が沸き起こっているのには、ラベルに描かれた水夫のイラストももしかしたら無関係ではないかもしれません。海をイメージさせるラベルならば、中身のウイスキーにも潮っぽいピーティな香りを期待してしまいますよね?

ブナハーブンと関わりの深いブレンデッドウイスキーといえば、ブラックボトルです。2003年にバーンスチュワート社がエドリントングループからブナハーブンを買収したときも、ブラックボトルのブランドとセットで買い取っています。ブラックボトルはアイラ島の7つの蒸留所(アードベッグ、ボウモア、ブルイックラディ、ブナハーブン、カル・イラ、ラガヴーリン、ラフロイグ)のモルトが含まれているという、とてもユニークで魅力的なブレンデッドですが、アイラモルトブームのせいで数年前から人気銘柄の原酒の確保が難しくなってきているそうです。ブナハーブン蒸留所がピーティなウイスキーを造り始めたのには、そういった事情もあるようです。

ブナハーブンはアイラ島でもっとも北に位置する蒸留所です。建物はアイラ海峡に面して建てられていますが、海岸沿いには道路がなく、島の中心地からはちょっと行きづらい場所になっています。幹線道のA846号から路地に入り、車もすれ違えないくらい細い農道を5キロメートルほども北上しなくてはたどり着けません。

エドリントングループがオーナーだった頃は12年物が唯一のオフィシャルボトルでしたが、現在ののラインナップにはスタンダードの12年以外にも、18年と25年があります。それ以外にも様々な樽を使ったウッドフィニッシュ等、趣向を凝らした限定ボトルや記念ボトルが数多く出されていますね。


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