Dallas Dhu
ドライでビターなフレーバー、「ダラス・ドゥー」

ダラス・ドゥーは芳醇なアロマと、ドライでビターなフレーバーが特徴的なスペイサイドモルトです。カタカナではダラス・デューと表記されることも多いですが、実際の発音はダラス・ドゥーの方が近いようです。ボディも厚く、もともとブレンダーからの評価が高かったシングルモルトなのですが、残念ながら1983年に閉鎖されてしまいました。美味しいダラス・ドゥーは確かに多いのですが、仕上がりには比較的ムラが見られ、そのことも蒸留所の閉鎖と無関係ではないのかもしれません。

ダラス・ドゥーはすでに蒸留所として稼働はしていませんが、現在は「スコットランド歴史的建造物および記念碑保存委員会 (通称、ヒストリック・スコットランド)」によって、モデル蒸留所・博物館として一般公開されています。なお最近では、「ヒストリック・スコットランド」がボトリングしたダラス・ドゥーも発売されていて、閉鎖された蒸留所の中では、比較的ストックが多く残っているシングルモルトだともいわれています。

蒸留所は1898年に、スペイサイド地方のフォレス地区で創業されました。設立当時、この蒸留所はダラスモア(Dallasmore)もしくはダラス・モア(Dallas Mhor)という名で呼ばれていました。蒸留所名がダラス・ドゥーと改められた後、オフィシャルのシングルモルトがダラス・モアというブランド名で販売されたことがありましたが、それは旧名に因んだ命名だったわけですね。またベン・モアという名のブレンデッドやブレンデッドモルトが出されていたこともありますが、今日ではいずれもがオークション等でなければ見つけるのは困難なボトルです。

なおダラス・ドゥーは Dallas Dhu と綴りますが、語源はゲール語の“Dalais Dubh (黒い水の流れる谷)”だといわれています。また、蒸留所から南に8キロメートルほど下ったところにはダラスという小さな村があり、これも蒸留所名の由来に関係しているのでしょう。ちなみにダラスといえば米国テキサス州の都市が有名ですね。アメリカやカナダ、オセアニアといったいわゆる新世界には、スコットランドからも多く移民が移り住んでいます。そのせいでスコットランドと関係のある地名は、とてもたくさんありますね。なお、テキサス州のダラスは第11代副大統領ジョージ・ダラスに因んで付けられた地名ですが、彼もスコットランド移民の子孫だったそうです。


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