Dalmore
マーマレード風味の食後酒、「ダルモア」

ダルモアはオレンジマーマレードのようなアロマと、ドライでスパイシーなフレーバーが持ち味の、北ハイランドモルト産のシングルモルトです。ふくよかな風味は、シガーとのマリアージュにも向いています。特にシガーとの相性がよくなるように原酒が配合(シェリー樽60%、バーボン樽40%)されたダルモアが、「シガーモルト」という名で商品化されている点はユニークですね。なおこの「シガーモルト」ですが、現在では「グランレゼルバ」と名前が変わっています。

ダルモアはブレンデッドウイスキーのホワイト&マッカイの原酒としても知られています。蒸留所2代目オーナーのマッケンジー氏が、ホワイト&マッカイ社の創業者と親交があったことから、同社に対する原酒供給が開始されました。ホワイト&マッカイ社(UBグループ系列)は現在4つのモルトウイスキー蒸留所(他はアイル・オブ・ジュラ、フェッターケアン、タムナヴーリン)を所有していますが、その中でもっとも生産量が多いのがこのダルモアです。年間で420万リットルを誇り、同社のブレンデッドウイスキーのまさに中核をなしています。

そのマッケンジー氏ですが、彼はハイランド氏族の名門として誉れ高い、かのマッケンジー家の子孫でした。マッケンジー家は、ハンティング中に雄ジカの角で負傷した当時のスコットランド国王アレキサンダー3世を助けた功績で、1263年に「雄鹿の紋章」が下賜されています。ダルモアのラベルに誇らしげに描かれている鹿の頭のイラストは、この「雄鹿の紋章」なのです。

ホワイト&マッカイ社といえば、同社マスターブレンダーのリチャード・パターソンさんが有名ですね。グラスのウイスキーを空中に飛ばしたり、「ハロー、ハワユー」とウイスキーに語りかけながらノージングしたり、「んっ、んっ」とウイスキーを噛みながら味をみる独特のパフォーマンスは、セミナー等でご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

2002年の12月4日、英国グラスゴーで開かれたマクティアーズのオークションに、ダルモアの62年物が出品されたのです。そしてウイスキーの競売価格としては当時の世界最高記録となる25,877.50ポンド(当時のレートで約490万円)で落札され話題になりました。このダルモア62年は、たった12本しかボトリングされていない超レアなボトルです。今日では値段は更に跳ね上がり、なんと10万ポンドは下らないそうです。


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