Dalwhinnie
軽やかなハイランドモルト、「ダルウィニー」

ダルウィニーは、ディアジオ社のクラシックモルトシリーズのオリジナルの6本の中の1本で、強豪のひしめくハイランドの代表として選ばれたシングルモルトです。軽やかな麦芽の風味と滑らかなテクスチャーがあり、アペリティフにはぴったりです。自己主張は決して強くないのですが、長期熟成されたものはフルーティで華やかなアロマを放ちます。

蒸留所のオープンは1897年。創業当時はダルウィニーではなく、ストラススペイという名で呼ばれていました。1898年にオーナーが代わり、そのときにダルウィニーと改名されました。なお改名されたのは、1905年だという説もあります。

蒸留所があるのは、かつてハイランドの首都だったインバネスから60キロメートルほど(道のりだと80キロメートル)南に下った、蒸留所と同名の村。ここはとても標高の高いところで、1973年にブレイヴァル蒸留所ができるまでは、スコットランドで最も高い場所にある蒸留所でした。

またこの蒸留所のユニークな点は、気象観測所の設備があること。もちろんちゃんと気象観測も行っていて、そんな蒸留所はスコットランドでは他にありません。このあたりの年間平均気温は6℃で、人が生活している場所としてはスコットランドでもっとも寒い場所なのだそうです。それゆえエンジェルズシェア(天使の分け前:熟成中に樽から減った分のウイスキーのこと)は、他の蒸留所と比べて極端に少ないのだとか。

蒸留所の近辺には、スペイ川の上流が流れています。ですが産地の区分ではスペイサイドの地域からは大きくはずれていて、ダルウィニーはハイランド産(北ハイランド)として区分されます。同じようにスペイ川流域にありながら、スペイサイドの蒸留所として見なされないケースとしてはスペイサイド蒸留所がありますね。

ダルウィニーとは、ゲール語で「落ち合う場所」もしくは「中継地点」という意味です。その昔、北ハイランドや西ハイランドからローランドの市場に家畜を連れて行く際、牛の群れをここに集めたのだといわれています。

ボトラーズもののダルウィニーは、残念ながらほとんど見かけることがありません。ですがオフィシャルボトルでは、20年、29年、36年といった長期熟成ものが過去にリリースされていて、まだ若干量ですが市場に出回っています。なお15年ものが。オフィシャルのスタンダードボトルとなっています。


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