Dufftown
休日昼さがりのスイーツ、「ダフタウン」

ダフタウンはスペイサイド産のシングルモルトです。スペルがDuftownなので、カタカナではダフタウンという表記が定着していますが、現地では最初の「ダ」にアクセントをおいて、ダフトンもしくはダフタンと発音されます。バタークッキーやキャラメルを連想させる甘い風味が特徴的で、休日の昼下がりに飲みたくなるようなウイスキーです。ただボディが軽く余韻もすっきりとしているため、デザート代わりの食後酒としてはやや物足りないかもしれません。

ダフタウンの原酒は、その98パーセントがブレンデッドウイスキー用に回されています。オーナーのディアジオ社は、自社の蒸留所の位置づけを、ウイスキーの使用用途に合わせて明確に区別していますので、ダフタウンは基本的にブレンデッド用の原酒を造る蒸留所だということになりますね。ですが、およそ2パーセントの原酒はシングルモルトとしてリリースされていて、かつては「花と動物」シリーズの15年物やレアモルトセレクションが市場に出されていました。現在はシリーズが一新され、「シングルトン」という新たなシリーズ名でダフタウンの12年と15年熟成のシングルモルトが免税店向けに出荷されています。

ダフタウン蒸留所は、1896年にリバプールの実業家らによって創業されました。ただ建物は新たに建造せずに、以前工場だった建物を蒸留所に改装して使用しました。この点は、前回紹介したディーンストン蒸留所と同じですね。1933年に蒸留所はアーサー・ベル&サンズ社に買収され、以降ブレンデッドウイスキーのベルの重要な原酒となっています。

ダフタウンという名は、この蒸留所がある町の名前でもあります。ダフタウンの町には現在6つの蒸留所が操業をしていて、創業の古い順に列挙しますと、モートラック(1823年)、グレンフィディック(1887年)、バルヴェニー(1892年)、ダフタウン(1896年)、グレンダラン(1898年)、キニンヴィ(1990年)となります。コンヴァルモアやピティヴェアックも、ダフタウンの町で造られていたウイスキーで現在でもボトルは出回っていますが、蒸留所はすでに閉鎖されています。

オフィシャルボトルの現行品は「シングルトン」シリーズだけですが、限定品ではマネージャーズチョイスボトルが発売されています。またボトラーズものは、ちらほらとですが見かけます。ダフタウンの楽しみ方のひとつとして、ブレンデッドのベルと飲み比べるのもいいですね。


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