Edradour |
馥郁とした香水と石鹸の香り、「エドラダワー」 |
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エドラダワーはとても個性的な風味を持った、南ハイランド産のシングルモルトです。まるで乳酸菌飲料に石鹸と香水、そして硫黄を加えたようなアロマを放ちます。フレーバーはねっとりと甘いのですが、テクスチャーはぴりぴりしています。フィニッシュではナッティ(アーモンド?)な風味が喉越しに残り、暖かい余韻が後を引きます。 エドラダワー蒸留所があるのは、南ハイランドのリゾート地として知られるピトロホリーから3キロメートルほど東に行ったところ。北には標高841メートルのベン・ブラッキー山を臨み、仕込み水にはこの山の湧水を使用しています。 この蒸留所は、かつてはスコットランドで最も小さな蒸留所として知られていました。年間の生産量は90,000リットルほどで、この数値は平均的なスコットランドの蒸留所のわずか30分の1(およそ1週間分)に過ぎません。ちなみにポットスティルの容量は、密造を防ぐために下限が2,000リットルと法律で定められていて、エドラダワーのポットスティルの容量はまさに2,000リットルなのです。ですが現在は北ハイランドのロッホ・ユー蒸留所が「地方経済の振興につながるのであれば」という条件付きで特例として許可が下り、114リットルのポットスティルで操業をしています。また、2005年にオープンしたアイラ島のキルホーマン蒸留所でも、エドラダワーと同程度の規模で蒸留を行っていますね。 エドラダワー蒸留所のユニークな点は、100年以上昔の古い型の麦汁冷却装置を現在でも使用していることです。この冷却装置はモートン式ワーツクーラーと呼ばれ、なんと1934年に製造されたもの。現在のワーツクーラーは水冷式が一般的になっていますが、このモートン式は外気で冷却する空冷式であるのが特徴です。スコットランドで、今日でもモートン式ワーツクーラーを使用している蒸留所はエドラダワーだけです。 エドラダワーは、2002年にボトラーズのシグナトリー社がペルノ・リカール社から買収しました。それとともにボトルやラベルは一新されましたが、スタンダードボトルはペルノ・リカール社の頃と同じ熟成年数の10年物がリリースされています。また2003年からバーレヒンという名のスモーキーバージョン(フェノール値はなんと50ppm)のモルトも生産しています。こちらは硫黄臭もあまり感じられず、正統派のスモーキーモルトに仕上がっています。 |