Glendronach
通好みのシェリー樽モルト、「グレンドロナック」

グレンドロナックは、多くのファンを持つ古典的なハイランドモルトです。シェリー風味とほどよいボディ、そしてちょっと野暮ったく素朴なテクスチャーがあります。同じシェリー系のシングルモルトといいますと、マッカランやグレンファークラスが有名ですが、それらと比べるとやや重厚さには欠けるのですが、それ故に親しみやすく根強い人気がありますね。またグレンドロナックの原酒は、ブレデッドウイスキーのティーチャーズにも使用されています。

蒸留所があるのは東ハイランドの小さな町ハントリーから、北東に10キロメートル(道のりでは12キロ)ほど離れた場所。ここは大変のどかな田園地帯で、豊かな緑に囲まれた谷間に美しいたたずまいを見せています。3キロメートルほど北にはデヴェロン川が流れ、北岸の町バンフで海とつながっています。また15キロメートルほど南に下った地点には、同じティーチャーズの原酒としてかつては兄弟蒸留所だったアードモアがあります。

グレンドロナックは、スペイサイドモルトとして扱われることがしばしばあります。かの偉大なウイスキー評論家である故マイケル・ジャクソン氏も、そのような分類方法を採用していました。ですが最近では、ハントリー以東は東ハイランドとして分類する方法が一般的になりつつあります。その理由ですが、ひとつはスペイサイド地域の蒸留所の数がとても多いので、地域を広めに設定すると偏りが更に増しバランスが悪くなるためです。

グレンドロナックの創業は1826年、蒸留所はその地方の地主ジェームズ・アラディス(アラダイス)によって建造されました。その後次々とオーナーは変わり、2008年にベンリアック・ディスティラリー社がぺルノー・リカール社から買収し現在に至っています。なおグレンドロナックという蒸留所名は本来ワンワードなのですが、ベンリアック・ディスティラリー社は、「GlenDronach」をオフィシャルな表記として採用しています。同社のもうひとつシングルモルトのベンリアックも、同様に「BenRiach」と表記していますね。

現在同社からは、12年・オリジナル、15年・リバイバル、18年・アラダイス、そして33年が販売されています。それ以外にもウッドフィニッシュシリーズや、ヴィンテージとカスクナンバーが表記された、シングルカスクの限定ボトルもリリースされています。


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