Glendullan
新鮮な青リンゴのフレーバー、「グレンダラン」

グレンダランは、知る人ぞ知るスペイサイドの銘酒といえるでしょう。このシングルモルトは、新鮮な青リンゴを思わせるフルーティな熟成香と、ぴりぴりしたトウガラシのような舌触りが特徴的です。ボディは軽めで、素晴らしいアペリティフになります。また長期熟成されたグレンダランは、ボディに深みが増し、レーズンやマーマレードのような魅惑的な風味を放ちます。

蒸留所があるのはスペイサイドの中心で、ウイスキーの町としても知られるダフタウン。町の東部を流れるフィディック川の、西岸のほとりに建物があります。現在ダフタウンでは6つの蒸留所が操業していますが、その中ではもっとも東に位置していますね。なおグレンダランという蒸留所名はダラン川に由来するのですが、この川は実はフィディック川よりも離れたところを流れています。どちらもスペイ川の支流で、蒸留所から400メートルほど南に下ったあたりに支流の合流ポイントがあります。

グレンダランはダフタウンの蒸留所の中では比較的知名度が低く、グレンフィディックやバルヴェニー、モートラックといった銘酒の陰に隠れがちですが、ウイスキーの質では決してひけをとりません。20世紀初頭にはときの国王エドワード7世に献上され、その後は王の愛飲するウイスキーになったというエピソードも、グレンダランのクォリティを物語るものでしょう。

グレンダランのウイスキーはクラガンモアとともに、ブレンデッドスコッチのオールドパーの原酒としても使われています。配合比は、かつてはクラガンモアよりもグレンダランの方が高かったそうですが、現在は逆になっているとのこと。ちなみにこのオールドパーというウイスキーは、1873年に岩倉具視らが欧米視察の土産として持ち帰りましたが、それが日本に持ち込まれた最初のスコッチウイスキーだといわれていますね。以来130年以上に渡って、オールドパーは我が国で愛され続けています。ボトルのラベルに描かれているトーマス・パーという人物は、なんと152歳まで生きたといわれています。

オフィシャルボトルは、かつては「花と動物」シリーズの12年物や、レアモルトシリーズから長熟ものが出されていました。現在はシングルトン・オブ・グレンダランの名で、12年物がアメリカ向けに生産されています。ボトラーズものは比較的レアですが、見かけたらぜひ試して欲しいスペイサイドモルトです。


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