Glenfarclas
濃厚な甘みが舌にからむ、「グレンファークラス」

スペイサイド産のグレンファークラスは、ドライで重厚なアロマと舌や喉にからむ濃厚な甘みが特徴的な、ヘヴィタイプのシングルモルトです。熟成はシェリー樽にこだわり、オフィシャルボトルはすべてシェリー樽原酒100%です。風味は多彩で、プルーンやダークチョコレート、オレンジマーマレード、硫黄、クローブ、レザーなどが感じられ、食後にはぴったりのウイスキーに仕上がっています。また熟成年数が長いものは、深く複雑な風味を楽しむことができますね。なおボトラーズものでは、バーボン樽で熟成させたものもしばしば見かけます。

グレンファークラスは創業者一族が今でもファミリー経営を続けている、数少ない蒸留所のひとつです。そのせいでしょうか、よく引き合いに出される似たタイプのシングルモルトのマッカランと比べると、ラベルデザインや風味が素朴で今ひとつ洗練されてないようにも感じられます。にもかかわらずグレンファークラスには多くのファンに支持され、人気・実力ともにひけをとりません。

またマッカランがスペイサイドで最も小さなポットスティルを使用しているのに対し、グレンファークラスのスティルは最大級の大きさです。一般的に大きなポットスティルでは、還流(沸騰と凝縮を繰り返すこと)が大きいために風味の軽い蒸留酒ができます。ですがウイスキーの場合は必ずしもそうでないことを、グレンファークラスは証明していますね。

蒸留所があるのは、スペイ川沿いのバリンダロッホ村のはずれ。この村は、“北の真珠”の異名をもつバリンダロッホ城があることでも有名ですね。その城から北東に3キロメートルほど離れたのどかな田園地帯に、グレンファークラスは優雅なたたずまいを見せています。蒸留所の南東には秀峰ベンリネス山がそびえ、仕込み水はこの山の中腹から湧き出る水を利用しています。

オフィシャルボトルは様々種類が出されていて、ラインナップはスタンダードの10年を始め、「105」、12年、15年、17年、21年、25年、そして30年があります。ちなみに105と言うネーミングは、アルコール度数60度をプルーフ表示(イギリスの古い度数表示)したもの。限定ボトルでは、40年スコティッシュクラシック、40年「105」、50年がリリースされています。また1953年以降の、カスクストレングス・ヴィンテージモルトのラインナップも見事です。


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