Glenglassaugh
甦ったハイランドの銘酒、「グレングラッソ」

グレングラッソは甘さと塩辛さ、そして果実と潮の風味が複雑に絡み合っているウイスキーです。カタカナ表記は、グレングラッサと綴られることもありますね。ボディは中庸のものが多いのですが総じてクォリティが高く、ボトラーズものでもはずれが少ないという印象があるシングルモルトです。また20年、30年と長く寝かせたものは、陶酔感あふれる魅惑的な熟成香を放ちます。

グレングラッソ蒸留所は、1986年11月に一旦閉鎖されてしまいました。当時は操業再開の見込みはほとんどないとまでいわれ、グレングラッソ・ファンの私はずいぶんと落胆したものです。しかし2008年にオランダのスカント・グループ社に買い取られ、その年の11月には操業再開を果たすことができました。この蒸留所は操業は停止していたものの、実はエドリントン・グループ社によってメンテナンスは続けられていたのだそうです。蒸留所のスピーディな復活劇には、そんな舞台裏の事情もあったようですね。

買収から復活までの陣頭指揮をとったのが、コンサルタント業を営んでいたスチュアート・ニッカーソン氏です。彼のもとにスカント・グループ社から蒸留所の運営を任せたいというオファーが届いたのが2007年のこと。買収先には、当初グレングラッソ以外にグレン・スコシアとブラドノックの2蒸留所が候補に挙がっていたそうですが、条件面で折り合いがつきませんでした。そこでニッカーソン氏は、最終的にグレングラッソに決めたと言われています。

グレングラッソ蒸留所があるのは、マレー湾沿いのポートソイという漁村のはずれ。村の中心地から3キロメートルほど西に位置した場所に、蒸留所は建っています。仕込み水は、かつてはグラッソ川とグラッソの泉から引いていましたが、現在は1キロメートルほど離れたところにある2つの井戸を水源地にしています。

オフィシャルボトルは26年、シングルカスクの36年と41年、そして未熟成のスピリッツドリンクが発売されています。アルコール度数は26年が46%、スピリッツドリンクが50%、36年と41年はカスクストレングス、すべてノーカラーリングでノンチルフィルタリングです。この中で新オーナーによって蒸留されたのはスピリッツドリンクだけですが、今後が楽しみなシングルモルトです。


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