The Glenlivet
とても華やかでフルーティ、「ザ・グレンリヴェット」

ザ・グレンリヴェットの持ち味は、とても華やかなアロマとでフルーティなフレーバーです。ボディは軽すぎず重すぎず、長く残る余韻が何とも心地よく感じられます。基本的には食前向きのウイスキーですが、熟した果実のような香りを放つ熟成年数の長いものは、食後に楽しみたいですね。

ザ・グレンリヴェットは1824年に政府公認蒸留所の第一号として、スコッチウイスキーの密造時代に終止符を打った蒸留所です。オーナーのジョージ・スミスは、そのせいで密造業者たちから裏切り者扱いを受け、命まで狙われたそうです。彼が護身用に身につけていたピストルは、今でも蒸留所に飾られてあります。その後、政府公認を取り付ける蒸留所が続々と現れ、100年以上続いた密造酒の時代は終わりを告げました。

ジョージ・スミスの造り出すウイスキーは瞬く間に有名になり、19世紀の半ばには「グレンリヴェット」がモルトウイスキーの代名詞になるほどでした。そのせいで、勝手にグレンリヴェットの名を名のる蒸留所が続出したそうです。困ったスミス家は訴訟を起こし、これに勝訴。以来グレンリヴェットの名称を単独で名のっていいのはスミスの蒸留所のみとなり、他と区別するために頭に定冠詞をつけるようになったのです。

そのような輝かしい歴史を持つグレンリヴェット蒸留所ですが、前オーナーのシーグラム社が所有していた時期には、世のシングルモルトブームに乗り遅れた感があったこともまた事実です。順調に販売シェアを伸ばす他蒸留所の後塵を拝し、元気をなくしかけていたのですが、その活力を再び呼び起こしたのが現オーナーのペルノ・リカール社でした。同社は販売戦略を根本から見直し、今日では以前のような勢いを取り戻しています。

オフィシャルボトルのラインナップには、12年、フレンチオークカスク熟成の15年、18年、21年、25年(XXV)があります。12年物は、スタンダードクラスながら魅惑的な果実香を放ち、コストパフォーマンスが高いですね。18年はより複雑なフローラル風味を楽しむことができます。また、ノンチルフィルターでボトリングされたナデューラは、フルーティで濃厚なコクが特徴。またセラーコレクションと名付けられたシリーズからは、本数限定の希少なヴィンテージボトルがリリースされています。


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