Glenugie
超レアで美味な個性派モルト、「グレヌーギー」

東ハイランド産のグレヌーギーは、とてもレアなシングルモルトです。アルファベットの綴りは「glenugie」ですので、英語的に発音するとグレンアギーもしくはグレナギーとなりますが、正確にはグレヌーギーと発音します。ただ日本ではすでにグレンアギーという呼び方が定着していますので、バーや酒屋さんなどではグレンアギーといわないとまず通じません。

グレヌーギーはドライフルーツのアプリコットやパイナップルを思わせる、魅惑的な風味が持ち味のシングルモルトです。クローブやシナモン、タンニンなども感じられ、アロマはとても複雑です。喉越しには樹液とミントの香りが鼻に抜け、ややクセのある個性的なキャラクターもグレヌーギーの持ち味ですね。またグレヌーギーはブレンデッドウイスキーのロングジョンの原酒としても使用されていましたが、現在のロングジョンにグレヌーギーは入っていません。

創業は1831年。東ハイランドの港町ピーターヘッドの南のはずれ、海が見下ろせる高台にグレヌーギー蒸留所は建造されました。近くにはインヴァネッティという小さな村があり、そのためオープン当時はインヴァネッティ蒸留所と呼ばれていました。グレヌーギーと改名された時期の明確な記録はありませんが、創業後まもなくだったともいわれています。なおグレヌーギーという蒸留所名は町の北部を流れるアギー川に因んで命名されましたが、仕込み等に用いる水はこの川ではなく、蒸留所の西にあるウェリントンの泉(1956年以降)から引きました。

この蒸留所の歴史は平坦ではなく、幾度となく操業停止に追い込まれ、何度もオーナーが変わりました。蒸留所がオープンしてすぐに、ウイスキーではなくビールを製造していた時期(1837-1875)があったりと、ちょっと変わった経歴もありますね。1956年にシェンリー社がオーナーになり、スティルの加熱方式を石炭から石油に変更してボイラーを導入するなど、設備に対し多額の投資を行いました。また2基あったスティルはどちらも新調し、ワームコイルの代わりに大きなコンデンサーを設置しました。

ただ残念ながら、この蒸留所は1983年に閉鎖されてしまいました。土地と建物は閉鎖後間もなく北海油田のプラント会社に売却され、蒸留設備等は一切が解体撤去されていますので生産再開の見込みはありません。グレヌーギーのウイスキーは、まだ市場に出回っていますが大変レアです。どこかで見つけたら、ぜひ試しておきたいシングルモルトです。


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